墓じまいの法的義務「改葬許可証」と祭祀承継者の役割
墓じまいは「法律」と「制度」に基づいて進めなければならない行政手続きです。特に、お墓からご遺骨を別の場所へ移す行為は、墓地埋葬等に関する法律(墓埋法)に基づき、**改葬許可証**なしには行うことができません。
本記事では、墓じまいを進める上で不可欠な法的知識、「改葬」の定義と許可証の取得手順、そして手続きの責任者となる「祭祀承継者」の役割について詳しく解説します。
💡 こんな方におすすめ
- 墓じまいの法的な根拠を知りたい方
- 改葬許可証の具体的な取得方法を学びたい方
- 手続きの責任者(祭祀承継者)について確認したい方
墓じまいの法的要件「改葬」とは
墓埋法では、すでに埋葬・納骨されている遺骨を別の場所に移すことを「改葬」と定めています。この改葬を行うためには、現在お墓のある自治体から**改葬許可証**の交付を受けなければなりません。この許可証がない状態で遺骨を移動させると、法律違反となる可能性があります。
改葬許可証取得の3つのステップ
- 受入証明書:新しい納骨先から、遺骨を受け入れることを証明する書類を入手する。
- 埋葬証明書:現在のお墓の管理者(寺院・霊園)から、遺骨が確かに埋葬されていることを証明する書類を入手する。
- 改葬許可申請:上記2つの書類を揃え、現在のお墓のある自治体の役場に提出し、許可証の交付を受ける。
行政手続きは複雑に感じられますが、自治体の窓口で相談すれば、丁寧に教えてもらえます。
手続きのキーパーソン「祭祀承継者」
墓地や仏壇、位牌など祭祀財産を受け継ぎ、先祖供養の義務を負う人を「祭祀承継者」と呼びます。墓じまいの行政手続きを行えるのは、原則としてこの祭祀承継者(またはその委任を受けた者)のみです。承継者は、遺言や地域の慣習で決まることが多いですが、決まっていない場合は親族間の話し合いで決定する必要があります。
法的な観点から見たメリット
- 法的な整理:改葬許可証を得ることで、遺骨の移動と新しい供養が法的に保証されます。
- 将来の安心:承継者を明確にすることで、将来的な供養の責任の所在がはっきりします。
- 無縁墓化の回避:法律に基づいて正式に手続きすることで、将来の無縁墓化を防げます。
まとめ
墓じまいを成功させるには、感情や慣習だけでなく、法律に基づいた正確な手続きが不可欠です。特に「改葬許可証」は、遺骨移動の「通行手形」とも言える重要な書類であり、手続きの責任者である「祭祀承継者」が中心となって取得を進める必要があります。行政書士などの専門家を頼ることも、手続きを確実かつ迅速に進めるための有効な手段です。



